叫びたいのなら叫び続けるしかない 『はつゆきさくら』小坂井綾編考察①
よし、のった(殴
*ネタバレ注意
プロローグ後、公式推薦順でいけば一番はじめに攻略することになるヒロイン(厳密にはもう一個段階を踏む。以後、それを桜BADルートと呼ぶことにする)。
そんな大役を与えられただけに彼女のルートはとても濃く、このルートで描かれていることは主人公を理解する上でもっとも重要な内容になると思う。
本編の一年前。どうして初雪は”復讐”をかかげ、ゴーストチャイルドになったのか。
そしてその時のヒロインとしてなぜ小坂井綾が選ばれたのか。
今回は、そのあたりを考察の軸として見ていきたい。
しかしまあ、小坂井綾の人間性はいまだに理解できない部分が多く、その正体も言動もこれが答えだと言える解がない。それくらい、色んなものが集まってできた渾然一体なミステリアスヒロイン。
ある意味でいちばん人間的なのかもしれないね。
でも、そのなかでひとつ、確かに言えることがある。
彼女は、初雪の叫びを肯定できる唯一のヒロインなのだ。
初雪が真意に抱えていた願い
このルートのはじまりは、ランが討たれてホテルを追い出された初雪が放浪の身となる回想からはじまる。
突然の出来事に気持ちがついていかないながらも、その日その日を漫然と生きていくうちに、初雪は状況を整理し始め、次第に様々な疑問を抱いていく。
どうしてランが討たれたのか。
そもそも、どうして自分はあのホテルにいたのか。
どうして、自分はひとりぼっちなのか…
そこには、本編では描かれることのなかった、ゴーストチャイルドになっていない”人間”としての初雪が垣間見えるのだ。
まずはそこを見ていこう。
・ランが討たれてから
結局のところ、俺は寂しかった
家に帰れず、こんなところに住み着いてしまっている境遇が
そのことを、相談する相手もなく…そして、叱ってくれる相手もいないことが
…ランに会いたかった
はつゆきさくら 河野初雪
ゴーストたちに追い払われて10か月。初雪は街をさまよい続け、ひとりぼっちで生きてきた。家に戻りたくても戻れない、ランにも会えない。
何故いきなりランが目の前から消えたのか、いきなり現れたゴーストたちはなんなのか、ゴーストの王様とはいったい…?
幻と疑うような出来事の連続に困惑し動けなくなるのは無理もない。しかし10か月ともなると、だいぶ長い間逡巡していることになる。ランも、安息の場も、もう完全に消えてしまったことは時間の流れがいやがおうにも教えている。
それなのに、彼は必死になって探そうともしない。
なによりすでに諦めてしまっている。
この頃はまだ王として目覚めておらず、復讐心もない、何が悪くてそうでないのかと考えるだけの弱い人間だ。裏を返せばこれが初雪の本性ということ。
桜BADルートのラストでも示唆していた通り、結局彼にはもとより復讐心なんてものはない。
ただ寂しくて、安息の場所が返ってきてほしいと願うばかりで、行動することも叫ぶことすらできないひよっこなのだ。
そんな弱い心が、初雪をより苦しめる。
ゴーストの王。それは、妙に俺の胸を打つ惹句だった。
この世界に受け入れられない理由を与えられたようで、少しだけ、救われるんだ。
俺はゴーストだから、受け入れられない。
はつゆきさくら 河野初雪
人はとかくして物事に理由を欲しがる。なにより理不尽は嫌いだから、とってつけたような理由を考えて、強引に自分を納得させようとする。仕方のないことだと思い込む。人間って、常に理不尽から抗っているように見えて、その抗い方に道理がなっていない、頭の悪い生き物。
本編で強く見せていた初雪も、素はただの弱っちい人間なんだよ。
けど、本当にそれだけか?
俺がこの世界に受け入れられないのは…
何かを呪っているからではないか。
人を呪わば穴二つという。
誰が誰を呪って、その連鎖は始まったのだろう。
悪いのは誰だ?
はつゆきさくら 河野初雪
この、誰かを呪うということに特化したのがいわばナイトメアだ。
彼女は理由よりも憎悪が強かったからすぐさま呪いに突っ走ったが、対して初雪はどうか。
彼はこうして道理を求めるばかりで一向に憎悪にも復讐にも走らない。もちろん、前を向くこともできない。
理由を求める心理としては、最終的に納得が欲しいのだろう。仕方がないことだ、と思いたいんだろう。それはゴーストになり切らない強さであるともいえるし、自虐を張り巡らせて自分を苦しめているだけの弱さであるとも言える。
でもどちらにしたって、彼はランや安息の場を失っても放浪するだけ。
しかし、逆に言えばひとつのきっかけさえあれば、どちらにも簡単に転べてしまうのだ。呪いを孕むゴーストにも、前を向く生者にも。
そう、この時のもはや初雪は生者でも死者でもない、互いの境界線上を反復横飛びしている、生けるゾンビのようなものなのだ。
ランを取り戻すためによくわからない憎悪に乗っかるか?
ランの言いつけを守って立派に生きるか?
その生死を分かつ最大の要因は、ランのいう”立派な人間”を目指せるかどうかにある。
では立派とは何なのか?
まだ確実な答えにはたどり着けないが、この時点でひとつわかることは、以下のセリフからある。
どちらが憎いとかじゃない
町が、歴史が、あらゆる呪いを憎む
大人たちは…その争いで
誰も子供を、巻き込んではいけない
はつゆきさくら 河野初雪
父親やゴーストの復讐心を煽る囁きが、本来彼にはなかった憎悪を生じさせる一方で、彼には彼なりの大事な信条があったのだ。
これが一番活きるのがシロクマ編なのでここでは割愛するが、ガキを巻き込んではいけないというその矜持こそ、初雪が放つ唯一の叫びなのだ。
自分が置かれている状況は、大人たちに良いように利用された末にあるからこそ、叫ぶ権利が彼にはある。そんな叫びが歯止めとなって、彼をゴーストの王にさせず生死の境界線をうろうろさせていたのだ。
そんな曖昧模糊な初雪の意志を大きく揺るがすふたりに、この後出会うことになる。
・アキラとの出会い
思えば初雪が放浪し始めてから初めてまともに触れ合った人ってアキラだ。
そしてそいつは、初雪に“復讐という逃げ道”を教えてくれる。
アキラと初雪は似た境遇なだけあって気心知れた関係になっているのだろうけど、決して身を寄せ合っているわけではないんだよね。どちらも孤独。いうなれば、お互いのその孤独が少し擦れているだけに過ぎない。
生前のアキラも初雪と同じで、一番つらい時期に寄り添える肩がなく、それでも助けてくれなんて言えない、凍えるほどの孤独に苦しんでいた。今のアキラはゴーストとなり、ただ生きていたいという願いを復讐に任せることで仮初の安定を得ているから、こうして河野を心配(してるのかな?)できているのだろう。
淋しい…。このセリフは、自分にも向けられているようにも見える。
そう、こいつだって、焦がれるほど復讐心に溺れているわけではない。復讐の対称の顔すら曖昧なほどのものなのだ。
だから結局は、えらくあっさりした終わり方になる。
「あんまり、意味がなかったのかもしれないな」
「でもそういうもんだろ。復讐なんてのは」
はつゆきさくら アキラ
生死の境界線でさまよっていた初雪が見た、ひとりの男の復讐というのはなんともすっきりしないものだった。
こんなはずじゃなかったと。欲しかったのは、こんなものではなかったと。
結局、逃げるようにして走った復讐は、自分の身を焦がすだけの結果にしかつながらないのだろう。
良いことなんてありはしない。会いたい人に会えるわけでもない。ただ自分の身を焦がすだけ。それが復讐の果てにあるものだ。
初雪はそんな当たり前な真理を、アキラを介して知ることになる。しかし、ここから初雪が『そうですか、じゃあ復讐なんかやめて真っ当に生きます』なんて簡単にはいかない。
自分の身を焦がすことが復讐――という、いわばゴーストの本質に気づき始めてしまっていたのだ。
・覚醒の予兆
恐れと侮蔑の混じった目で自分を見るクラスメート達の顔が浮かぶ
なぜか付きまとっていた女の顔。今朝の男の顔が浮かぶ
あの剣道場も、これ以上、寝床には使えないか
はつゆきさくら 河野初雪
アキラと別れ、綾と妻とのひと悶着の後の波乱。
そもそも初雪が剣道場なんていう、学内にあって人目に付きやすい場所を寝床に使っていたのは、利便性があったからというだけではない。
学内だからこそ、誰かが見てくれるだろうと思ったまでだ。これが初雪自身が後述する、甘い考えだ。
そんな甘い考えをひそかに持てるほど、この時点ではまだ現実には絶望しきっていないことがうかがえる。
執拗に付きまとう綾、暴力を振るってきた妻、恨みや煩わしさをまとわずにその顔が浮かぶ。
方向性は違えど、なんだかんだで同じ学園の生徒で初めてコミュニケーションをとった二人なのだ。
しかし居場所が失われたのは事実。
あの日から日に日に肥大化していく虚無感は、ついにゴーストたちに頼ることでしか埋められないほど、限界に達していたのかもしれない。
ついぞカツアゲの行為にまで走るも、脳裏に浮かぶランの顔。初雪はそれを胸糞悪い光景と称し、綾からも逃げてしまう。
「ちくしょうめ。どいつもこいつもっ」
「全部殺してやる。殺してやる」
はつゆきさくら 河野初雪
ひとたび倫理から背いた行為に乗ってしまえば、そこからは憎悪だけしか生まれない。おそらくこれが、初雪がはじめて心から抱いた憎悪。ゴーストにそそのかされ、略奪を掲げた瞬間だ。
アキラを経て復讐はただ身を焦がすだけで意味はないと気づいていながらも、理屈を超えた価値を初雪は感じ始めようとしている。
…よく考えてみれば、虚無感で一杯の初雪を復讐の道へ走らせることなど簡単なのだ。現に今も、ゴーストの囁きで街に憎しみを抱こうとしている。
だとしたら、ランがわざわざ綾を使う意味などないのでは、と思ってしまう。
世話係は確かにほしい。でも下手に綾と深く交われば、復讐に不要な未練が生まれてしまう。
これはもしかしたら、ランなりの、一種の賭けなのかもしれない。
・綾との一騎打ち
本ルートの最重要人物たる綾との遭遇のきっかけも、またなんとも濁されているものだ。
作中でもほのめかされているように、もしかしたらこの時の綾はランをはじめとした多大なゴーストの干渉を受けてしまっているのかもしれない。
いわば ”(純粋な)生者ではない”。 目的意識もどこか曖昧で、自分がなぜこうしているのかもわからない、そんなある意味ゴーストに生かされているような存在だからこそ、 初雪と深く接触することができたのかもしれない。
ま、綾については次回辺りにでも。
「1つ聞きたい。何故俺に構う?」
「強いて言うなら…目障りだからかな」
はつゆきさくら 河野初雪、小坂井綾
何故構うのか。
初雪との交友のきっかけとなる部分だが、今でも納得のいく理由が見つかっていない。
自分なりに考えてみると、この「目障り」というセリフは初雪だけでなく、自分にも向けて言っているような気がする。
初雪を目障りだと言ったのは、初雪のその言動に嫌いな自分(この時点ではおそらく、死を肯定しながらのうのうと生きる不格好さ)と似た部分があったから。闇を見ると自分の闇も露呈されてしまうように、綾にとってこの初雪の存在は本当に目障りだったのだろう。そのうえで執拗に構うのは初雪がアキラと似ていたからか。
つまるところ結局は、綾自身の後悔やわだかまりを晴らすだけに話しかけたってところだろう…と私は解釈している。
「お前は一体、なんなんだ。俺に構うな」
「世の中にはいくらでも口開けて人の親切あてにしてる人間が腐るほど腐ってるだろうがよ!」
「君が、それでしょ」
「孤独なくせして孤独になり切れなくて、助けてほしいのに助けてくれって言えない」
「いっそ消えちゃえばいいのに。誰もいないところで寂しがってなよ。一人で寂しがってなよ」
「寂しいってそういうことでしょ。君は単に寂しくなるのが怖くてもがいているんでしょ」
「滑稽なんだよ。傍から見ると」
はつゆきさくら 河野初雪、小坂井綾
考察するまでもなく、現状態の初雪を表したセリフ。
ランを失ってから剣道場や色々なところを寝泊まりしていって、たまにのうのうと学園に現れては不機嫌そうに去る。こんな行動の背景には、やはりどこかで『誰かに見てもらいたい』という考えがあったからだ。
しかし変な意地があるのか、本当のことを話しても誰も信じてもらえないからか、自分はゴーストの王だから孤独でいいんだともったい付けた理由で孤独を選び続け、それでもゴーストの王にもなりきれない。
生者として人の親切にも頼れず、ゴーストにも染まれない。そんな胡乱な状態こそが、綾の言う”滑稽”という言葉に込められている。
…それは初雪自身も気付いていたはずだ。ただ、救済の手もなければそう罵ってくれる相手もいなかったから、閉じこもるしか選択肢はなかっただけで。
どこかでそんな弱い自分に気づいていながら、結局目を反らしたまま甘んじていた初雪に、はじめて投げかけられた正論だった。
前述したように自分で自分の像が把握できていない綾からしてみれば、アキラを想起させてしまうとは別に、初雪は無意識に感じ取った自分の鏡でもあった。
諦めきっている綾からすれば下手にもがく彼は余計に滑稽に映るのだろう。
俺は消えるべきだった
誰とも口をきかず、呪うような表情でクラスメートに煙たがられるくらいなら、さっさといなくなるべきだった
それでもこんな隅っこに止まり続けたのは……ランとの約束のためだけじゃない
甘ったれた、未練のせいだった
結局俺も、何もわかっていないじゃないか
そしてもう、そういうことにあがくことにも、疲れてしまった
はつゆきさくら 河野初雪
実は綾よりまだ救いがあるとわかるこの一節。
初雪は周りに敬遠の目を向けてでも、どこかで助けを求めていた。それは、まだ立派になりたい、再起したいと思う表れと、寂寥感の重ね合わせから生じた想い。彼も彼で必死だったのだ。
しかし初めて自分に向けられたのは、そんな自分の罵倒だった。それも的確だからこそ、彼は足掻くことをやめてしまう。
一方でこれは、これまでの停滞した自分へのリセットの機会。
ここでランとの約束も薄れ始め、本人のいう甘ったれた考えが昇華されることになる。
ここから先は初雪のセカイだ。ゴーストに転ぶか、まだランとの約束に固執するか、その選択が、このルートにおける初雪の役となる。
…というか、なぜ“甘ったれた未練”なのだろう?
どうしようもない重荷を背負って、誰かに助けてほしい、救いの手が欲しいというその気持ちを、彼はそう代弁した。
綾の言うように、それでもひとりでもがき続けている方が無様で滑稽であると言ってもいい。助けてほしいというのが、そこまで甘ったれなのか?
この時から既に、初雪はゴーストの王への兆候があったのだと言える。業の重さに叫びたいのなら、現世に留まらずゴーストになって叫ぶべきだったと。しかしこの時の初雪にはまだその覚悟が足りなかった。
だから綾の叱咤で今の愚かさを見つめ直した。なかば死んでいながら、心の底では生に焦がれている自分の覚悟の弱さを。
…甘ったれた、というのは覚悟の無さから生まれた自嘲の言葉だったのだろうか。
・小坂井綾の悩み
憑依で済ませていいのかわからないくらいに、この子には芯がなく、確固とした生き方がない。それでももともとは頼れる生徒会長、あまたの男を恋に落とした魅惑の女性。
アキラの死がここまでの虚無を生んだとなれば、実は初雪のことをどうこう言える立場ではない。いや、本質的に同じだからこそ、初雪を見ると自分の惨めさも浮き彫りになって、結果「目障り」なんて言葉が出てきたのだろう。
「私は卒業、しない方が良いんじゃないかって思ってる」
「卒業が迫るにしたがって、ぼんやりと考えるようになったんだ。このまま卒業してもいいのかなって」
「罪滅ぼしとかじゃなくて。彼をどこかに置き去りしてしまうような気がしてね」
はつゆきさくら 小坂井綾
不祥事を起こして退学を食らったアキラに対してはドライだったという過去話。
元々の綾って、思う以上にサバサバしてる人だったんだろう。慕われていたというのも、こういった凛々しい態度が評価されてのことかもしれない。
実の弟に対して心配もしていなかったと言うが……いや、兄弟仲がそれほど良くなければこんなものだろうか。
でも死んだとなれば別。死者はもう口を利かないから、残された側はその死をきっかけに妄想だけが膨らんで、憑りつかれたように立ち止まってしまう。彼を気にしていなかった分だけ、尚更。
いや、気にしてなかったはずがない。曲がりなりにも実の弟で、後の綾のセリフから、不祥事を起こした後にも町で会っていて、その時何もしてやれなかったという後悔も生まれているのだ。
彼が生きていたうちは、さほど自分の私生活に影響を及ぼすまでではなかったにしても、どこかしら心残りというものはあったはずだ。
だからこうして、立ち止まるくらいに憑りつかれている。
「まあ実際。そんなことは卒業しないとわからないんだろうけどな」
「結局、今過ごしている時間がどんな時間かなんて、その時はわからない」
「過ぎ去って振り返った時こそ、見えてくるものがあるんじゃないか」
「だから、とにかくやり切ってみるしかないんだと思うけどな」
「自分と、懐かしい人たちに報いるために」
はつゆきさくら 河野初雪
周回プレイでびっくりしたのがここ。これはランの受け売りの言葉だが、まさか初雪の口から出ていたシーンがあったことに驚きだった。
逆に言えば、こうして人に話すくらいに心に染みわたっている警句からこそ、彼は未だに生死の淵から踏み外さずに済んでいるとも言える。
このセリフは物語の核心をつく重要なセリフのようで、共通部においてこの一連のセリフを綾の方からも発している。
ランから受け持った初雪が発端のこのセリフ、覚醒前の初雪自身は区切りを超えたことがないからまだ響かないものの、卒業生の綾はこの作品においては唯一の区切りを越えた経験者だ。卒業後の綾本人は、ランの教えに倣って生きる覚醒前の初雪をそのまま表しているように思える。ふらふらと復讐心に身を投げてしまうのも、再起の可能性があるのもすべてひっくるめて。
しかし、綾もまた孤独な人だったんだと今更ながらに思う。
家族からは見放され、弟もいなくなり、先生方からは覚えが悪く、後輩達にも特別思いを馳せていない。孤独だからこそ、止まってしまうんだろう。
ひとりだと、頑張ってもその後に価値が見いだせないから。彼女は感情を表に出さない分わかりにくいけれど、なんだかんだでそれはアキラや初雪と同じこと。
た
だ、彼女は自己犠牲の精神がいささか強い。初雪はよく、放浪していた自分の境遇を、心の隅で自分がゴーストだからと理由つけて無理やり納得しようとしていた。綾は更にその先の、なら自分はどうなってもいいやという所まで来ている。初雪のようにどこかで助けを欲してなどいない。いや、助けを乞えないから諦めている。第一に彼女の側には誰もいないから。
それは逆に潔いと言えるのかもしれない。むしろ愚直にも助けを希う初雪たちの方が、綾の言うように惨めなのかもしれない。
だけど。だけどね。それはどこまでも独りよがりな精神だと思う。
自分が死ねば示しがつくだろうなんて、根拠薄弱なことを謳って、結局は自分が楽になることしか考えていない。
抑圧された社会の中で、意志主張の弱いものはいささかその考えに帰着するきらいがある。やっぱり理不尽なことでも、納得が欲しいから、悪いのは自分なんだと思い込んで解決したふりをしてしまう。
そう、それはもはや自己を焦がし続けるだけの、いわばがんじがらめなまま復讐に身を投げた後……桜BADルートの初雪まんまだ。自分が頑張ることで誰かも救われるという、この作品で言われている根幹的な徳が彼女には見えていない。というより孤独で自己評価が低いせいでそれが見られない。見ようとしない。
彼女の問題はまさしくここにある。
…とりあえず、なんかメモみたいになってしまったけど、この辺で。
こんな感じで、アップダウン論法のような全体を俯瞰した考察というよりは、ボトムアップ的にセリフやワンシーンを見て全体を組み立てていく、という方針を取っていきたいと思います。
綾ルートはとにかく内容が濃いので冗長気味になってしまいますが、次回はこの先のお話から、綾と初雪の深層を探っていきます。
続きます。
了。
同メーカー商品を載せるのは宣伝の基本(開き直り)
あなたにとっての卒業とは? 『はつゆきさくら』レビュー&考察の前説
そういえば最近はエロゲやってないなーって思って自分のPCのデスクトップを眺めてたら、最後にちゃんとコンプした作品は9月にプレイしたやつで、もうここ2か月くらいはエロゲレス状態だったことに気づいた。
いや、プレイ途中のものはあるんだけど…うーん、プレイする気にならないなぁ…って感じがずっと続いている。
やばいよね、これは。
と思ったので、だいすきな作品を語ることでエロゲ熱を再発させることにしました。
題材は、これまで私が一番深く考察してきた愛すべき作品『はつゆきさくら』。
(あ、Vita版あったんだ…)
知っている人は知っている不朽の名作『はつゆきさくら』。
これは私のエロゲデビュー作でもあり、これまでで一番深く、長く考察を繰り広げてきた作品でもあります。
Wordにね、もう長々と書き連ねているんです。2年くらいかけて、10万字くらい。
その考察をお伝えしていきたいなと思ったのですが、書いたものをそのまま載っけるにはあまりに長文なので、やるとしたらルートごとに区切って記事にしていこうかと考えています。
今日はその序論として、まずは『はつゆきさくら』のレビューを簡潔に、そしてこれから考察していく内容の提示をしていきたいと思います。
*レビューと言いましたが、若干のネタバレが入ります。
物語の核心をつく内容は記していませんが、物語の”方針”を語るくらいのことはしちゃっていますので、あしからず。
・『はつゆきさくら』とは
2012年2月24日にSAGA PLANETSより発売された、新島夕氏単独ライトの四季シリーズ最終作(四季シリーズというが、別に各シリーズにつながりは一切ない)。
発表された当時の、fripSideの歌をバックに流れる2ndOPがなんとも言えない異質さを醸し出しており、一躍話題を呼びました。
冬をテーマに、降り積もる雪のなか葛藤や悩みをかかえて成長していく少年少女たちの成長を描いた人間ドラマ作品で、内容としてはいたってシンプル。
進学校では珍しい不良の主人公「河野初雪」は、ある冬の夜、真っ白なドレスを身にまとった謎の少女「玉樹桜」と出会い、なんやかんやあって学園生活をともにすることになってしまう。
それが引き金となって河野初雪の交流の輪はどんどんと広まっていくが、実はその町にはゴーストと呼ばれるものがいて―――
――卒業を控えた冬の季節に、少年少女たちは様々なゴーストと向き合いながら、卒業を目指して苦難を乗り越えていく。
といった内容の、青春学園風なストーリー。
(あらすじを書くのは苦手…)
個別ルートの選択も非常に簡単で、公式推薦の攻略順はあれど、基本的にはプレイヤーの自由にヒロインを選んで攻略していくことができます。
シナリオ構成も、prologue→個別ルート→ラストエピソードという、オーソドックスな形式。
もちろんながらキャラが可愛いとか、そういった萌的な面白い要素も多数ありますが、さすがにすべてを紹介するにはあまりに長いので、私が思うこの作品のなによりの売りとなる部分を紹介すると、それは丁寧に描かれた少年少女たちの人間ドラマにあると考えています。
そして、その表現が著しく上手く、プレイヤーの琴線に触れさせるだけの演出が丁寧に練られている。
これこそが、『はつゆきさくら』の一番の売りだと考えます。
一個一個見ていきましょう。
・エロゲにしかできない丁寧なシナリオ構成
エロゲやノベルゲームの個別ルートっていったい何のためにあるのだろう?と考えたことはないだろうか。
私はしょっちゅう考える。
”そのヒロインを恋人にしたイチャイチャ話を見たい”と言う理由でルートがほしいなら、True√とかラストエピソードなんていらないはず。ゆずソフトなんか特にそういう方針をとっているようにね。
最後に一番に注目すべき人物が中心に描かれるラストエピソードなるものがあるということは、そこにいきつくまでの個別ルートは”前座”でしかない、ということになるわけです。
そう、あくまでラストを引き立たせるための、シナリオ論で言えば”ダレ場”に当たる部分だ。
このダレ場にあたる個別ルートで描かれていることがラストに活きるから、ラストエピソードはクライマックスとして映え、作品全体をかたちづくることが出来る。
その前座である個別ルートをどう活かし、ラストにつなげていくかというのは作品やメーカーによって方針は違うので、一概にこれ!といえる答えはありません。
しかし中でも『はつゆきさくら』はひとつひとつのルートに一切の妥協がない、どれも物語を形成する上で重要ななにかがあまねく描かれているシナリオ構成になっている。
はつゆきさくらのシナリオが最終的にゴールとするものは『卒業』。
3年生の主人公をはじめ、後輩のヒロインたちにも、それぞれの卒業というものがあり、どの話でもそれを軸に描かれている。
当たり前な話ですが、物語の顔は主人公であり、主人公がそのゴールにたどりつくことこそがクライマックスにあたるわけです。
つまり、主人公である河野初雪の卒業までを描いた話というのが、はつゆきさくらの具体的なシナリオになるわけです(ここがネタバレの限界なのでこれ以上は説明しません)。
では、それを最後に描くために、個別ルートの立ち位置はどのようになっているか。
『はつゆきさくら』の個別ルートは、主人公を理解するための話という目的で位置づけられています。
河野初雪の抱える問題とは?
河野初雪の言う”卒業”とは?
河野初雪に必要なものは?
といったような、ラストエピソードで伏線と成り得るこれらの要素を、個別ルートにちりばめたような構成になっているのです。
主人公が接するヒロインが違えば、主人公が表に出す態度や考えも変わる。
ヒロインが抱える問題によって、主人公の出方も変わってくる。
接していくヒロインによって、主人公の考え方の変化の方向性が違ってくる。
そうして描かれていく個別ルートのシナリオから、いろいろと比較を施して、主人公がどういった存在なのかを理解していくことが、全体を俯瞰しての、個別ルートの目的だと私は考えています。
こう言うとヒロイン<主人公の作品なの?と思われるかもですが、まあある意味正しいけど、ちゃんと個別ルートではヒロインが主役になって、せいいっぱい喘いだり萌を引き出したりしてくれているのでその辺は大丈夫です。
そもそも各個別ルートにおける主人公を知るには、相対的にヒロインへの理解も必要なので、決してヒロインがなおざりにされているということはありません。
(シロクマが不遇…という声も聴きますが、個人的にシロクマルートはシナリオ上重大なものが描かれている大切なルートだと思ってます)
こういった、ヒロインとの逢瀬をかさねて主人公を理解していくという構成は、エロゲにしかできないものだと思うんですよ。
ゲームシステム的なやり直しが効くからね、エロゲは。
同じ時間軸で複数のヒロインと接触できるわけだから、これほど丁寧に人間が描けるコンテンツはないよ。
『はつゆきさくら』は、その利点を最大限に活かしたシナリオ構成であると、私は太鼓判を押します。
・絶妙な演出の強さ
演出…といって思いつくのはCGとか、BGMとか、あとは簡易的なムービーだろうか。
それらをどう織り交ぜるか。それが演出というものですよね。
でも一概に演出といったって、シナリオに則したものとそうでないものとがあると思う。
アホらしいほど極端な話、シェイクスピアの『真夏の夜の夢』のようなファンタジーものの陽気な喜劇で使われるような音楽が、『マクベス』のような時代シリアス系の悲劇に合うわけがないでしょう。
誰にだってわかることだけど、ようはそれがシナリオと音楽との相性というもの。
当然、シナリオとCGとの間にもそのような相性の善し悪しはあると思います。
シナリオ論では一番に目を見張るべきところに当たることだと思っていますが、やはりテンポというのは大事な話。
リズム的なテンポもそうだが、精神的なテンポもそれにあたる。
精神的なテンポというのは要するに”刺激”ですね。極端な話、背景や立ち絵の変化がないシーンが延々と続くのは飽きるでしょう。
視覚的な刺激を適度に与えられることで、人は飽きることなく物語に目を向けられるわけですが、これがまたとんでもなく難しい話。
慢性を恐れ、ムービーやCGの変化を数秒ごとに一回はさむと、それは逆にテンポが悪くてダメになる。
だからって何の変化もない場面を見せられても刺激がなくてダメになる。
その案配が難しい中で『はつゆきさくら』はどれだけできているのかというと、少なくとも私は心地よいテンポだと感じました。
ちょっとわかりづらいけど、この作品、たまにこうやって背景に雪が降っているんです。
静止じゃなく、ゆらゆらと動いたまま、ですよ。
なにげない演出だけど、私はこれだけでも十分な演出効果だと思う。
『はつゆきさくら』は冬を舞台にしているだけあって、”雪”というものに対して物語上の意味を持たせている。
別にそれを深くまで理解する必要はないけれど、たとえばシリアスなシーンでこの雪が画面をゆらゆらと揺らぎ落ちているだけで、見る印象は大きく変わると思う。
こんなちっぽけな変化で?と思うかもしれないが、ちっぽけだからこそいいんです。
確かにこの雪の演出はちっぽけなもので、ムービーやCGほどの強い刺激は与えられないけれど、逆に言えばそれは文章を邪魔しない演出なわけです。
インパクトとして大きな刺激がほしいならムービーやCGを使えばいいけれど、文章をメインとしたいときに、この手のちっぽけな演出はとにかく映える。
もちろんいざというときにはCGを使ってインパクトを出してきますよ。CG、結構多いですし。
このように、この作品はリーディングを邪魔しない、なおかつ視覚的にも刺激のある演出効果を丁寧に仕込んでいるのです。
音楽の話もします?
これはもう個々人の感性によるけど、この作品のBGMはハイレベルだと個人的に思います。
むしろ文章を読むのを邪魔してくるくらい音楽の盛り上がりが激しかったりもする。そこがネックになるかもだけど、私は音楽もエロゲの一部と考えているのでむしろウェルカムって感じ。
人間は視覚よりも聴覚的刺激の方が脳に残りやすいので、音楽が盛り上がってくれればくれるだけ、その時のシーンを想起しやすくなり、結果としてシーンごと印象に残る。
そういう絶妙な刺激の強さも、この作品のいいところでもありますね。
・キャラクターの濃さ
これについてはネタバレなしで語るのがきついのですが、前述したこととよく似た話。
さきに、この作品の個別ルートは主人公を理解するために置かれているものであり、それを引きたてるためにヒロインを理解する、みたいな話をしましたが、つまりはそういうこと。
あまり前のめりになる必要もないけど、理解しようと心掛けなければ簡単に理解できないようなキャラクターが多いです。
逆にいえばそれはキャラクター性が非常に濃いということ。
人間味があるということにもつながるでしょうね。
でも簡単に理解できなくて当たり前。
構造上、自分と同じ考え方の人ばかりじゃないんだもの。
だからこそ、自分と違う人間の考えだからこそ理解する価値がある。
たとえばこの子。
はつゆきさくらに限らず全作品で私がトップクラスに好きなキャラなのですが、彼女のルートをもう何周したかわかりません。
大学の試験勉強のときも、BGMとして彼女のルートを垂れ流してたくらいですし(テストは全然問題なかったです)。
でもそれくらいして、やっとこの子が言っている些細なセリフの意味に気づけるようになりました(まあ、単に私の理解力不足な点もありますが)。
そうして改めて思うのは、この子はとても人間的に弱くて、でも強い子なんだな、ということ。
個別の考察の方でいずれ書いていきますが、そんな筆舌に尽くしがたい人間的な弱さと強さを孕んでいるキャラなのです。
そして彼女のその人間性も、主人公の理解に大きく関わっている、というのも大きなポイント。
ひとりひとりのキャラクターに人間味の溢れた濃さがあり、それらが主人公の人間性の理解にも直結していく。
だからこの作品の中で無駄なシーンってのはほとんどなくて、よくお弁当イベントとかただのイチャイチャデートとか萌要素一点のシーンが散見される作品がある中で、この作品のイチャイチャイベントにはシナリオ上重要な隠された伏線みたいなものがあったりする。
それに気づいたとき「メタいなぁ」とか「これ、こういう意味だったのかw」とか、また違った楽しみを得ることもできるのです。
やっぱりひとりひとりのキャラクターの人間的な濃さというのは大事なもので、より濃密なシナリオを展開するためにも必要なものなのだな、と感じます。
『はつゆきさくら』は、そう言った部分も大事にされているんですね。
他、魅力という魅力は枚挙にいとまがないくらいですが、今日はここまで。
以後、物語考察としてはつゆきさくらを語っていくつもりでいますが、基本的に語ることは、前述したこの物語のストーリーにのっとり、ヒロインおよび河野初雪を理解していく考察を繰り広げていきたいと思います。
繰り広げていきたい…というかすでに繰り広げているんですけどね。個人で。
とにかく『はつゆきさくら』は万人受けする不朽の名作ですので、多くの人にやってもらえたらなぁと切に思っております。
了。宣伝は怠らない質。
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切り立った崖をなだらかに。二重指数関数変換のススメ
はじめての数学記事です(実を言うと専門は物理)。
最近、プログラミングに組み込むと大変便利だということで二重指数関数変換積分の存在を教わったのですが、
ちょっとこれに感動しちゃったので記事にして紹介。
どっちにしても手計算でやるには面倒だけどプログラミングに組み込むうえではこれがあるとほんとに便利。
これ発見したの日本人だって。すごいね。いやほんとにすごいと思う。
二重指数関数変換とは
Wiki見てもイメージがつかめないので、超ざっくり一言でいうと、
切り立った関数をなだらかにする。
というものが、この二重指数関数変換。
切り立った関数というのは、一点だけが極端にとんがってたり、局地的な変化を示すような関数のこと。
要するに手計算で積分するにはめっちゃむずな関数。
それでも、そんな関数を正確に、誤差を少なく便利に計算したい…!ってときにこの二重指数関数変換をほどこすと、局地的に切り立った関数が全体的になだらかになり、大変計算しやすくなるんだぞってことです。
具体的にやることを言うと、たとえばある関数があるとき
その関数に二重指数関数的に減衰する関数()を施して、積分領域を広めてやるということをしてあげるのです。
だから二重指数関数”変換”というんですね。
なぜ二重指数関数がいいのかというと、これをほどこした後の積分とほどこす前の積分との誤差が非常に小さくなるのが二重指数関数だからという理由。
一応その証明もありますが、ここでは割愛。
んで、ほどこす二重指数関数にもいくつかパターンに応じた最適なものというのがある。
たとえば
形式の場合、この形式に応じた最適の二重指数関数は
となる。
他にも
などといったパターンがあります。
実例を見てみよう。
Excelでちょちょっと作った適当な関数。
関数は
というクソみたいな関数に設定。
ー1と1で無限大に発散するということで、積分領域は
とする。
これが先で言った”切り立った関数”の一例。
だが、このままでは計算がめんどすぎて嫌になる。
ということで使うのが二重指数関数変換なのだが、具体的にどうするかというと、
この関数は
の形式なので、この形式に応じた最適の二重指数関数として、
を施してあげる。
tanhなのでは-1から1までの値域で、一方tはどこまでも行ける。
んでこのはと同じ(このグラフの縦軸がxと同じ)なので、
xは有限の範囲でも、その変数tは無制限という新たな関数が生まれる。
なのでとのグラフをとってあげれば、元と同じ関数でありながら無限の範囲の積分が出来る
=積分領域を拡大し、きりたった崖をなだらかにしてあげることができるのです。
ちなみにそのグラフがこんな感じ。
さきほども言ったように、このtに制限はありません。
xがー1と1で発散したのに対し、このtはどこまでいっても発散することはない。
横軸がtになったので最終的にはこういう積分の式になります。
台形公式の導入
具体的にやることは、
関数を等間隔の幅ずつで区切り、そうしてできる横,縦の面積をひたすら足していく。
区分求積法みたいな感じ。
実際に式で書くと、
この和を無限項ではなく有限項で打ち切ったを求め、 と の値がほぼ等しくするようにすれば、完成。
以上。
どこでこんなの使うんだよって話になりそうですが、とんちんかんな関数の積分計算に文句を言ってくるプログラムにこれを組み込んだりして、計算を進めていったりするのです。
まあ…それ以外おもいつかないけど。
というわけで今日は数学のお話でした。
ノベルゲームの持つ可能性を信じたい。私の考えるノベルゲーム的物語性について~
「最初に夢が必要なんだ」
「理想に惑わされることがなければ、灰色の日常から、何かを始めようと思うものとていない」
魔女こいにっき
ノベルゲーム(ゆうてもエ口ゲがほとんどだけど)をプレイしていきながら、私はよく、ノベルゲームの持つ可能性について考える。
それは物語の可能性といっても差し支えないかもしれない。
小説、漫画、ドラマ、映画、アニメ……この世の中には、同じ物語にしたって実に多種多様な表現方法が存在する。
あるいは有名な漫画やアニメなどを、実写化という形で映画にすることも今では珍しいことではない。
が、これに関しては賛否両論だろう。
同じ内容にしたって、表現方法が違えば当然 ” 映え方 ” も変わる。
アニメで見て好きだった作品が実写化し、ウキウキ気分で見に行ったら『なんじゃこれ』ってなった経験も、アニオタならしょっちゅうのことだろう。
私にもあった。
好きだったラノベが実写化し、いざ見にいったら酷すぎて思わず失笑してしまったこともある。
表現方法が異なることで、ひとつの作品に対する見方ががらりと変わってしまうことに強烈な抵抗感を覚えてしまう。
しかしそれでも実写化をやる意義というのは、その表現方法ではじめて通じる人がいるからだ。
アニメや漫画では心が打たれない………でも実写化で、好きな俳優さんが演じているそれを見て、はじめてこの作品の良さがわかった。なんてこともあるのだ。
私には好きな俳優も監督もいないが、つい最近見に行った劇場アニメ『君の膵臓をたべたい』も、私としては原作よりずっと心に響くものだった。
(5回も見に行くほどだった。それくらいハマっちゃってた。すごい)
まぁその話はともかく、私が言いたいのは、物語には多様な表現方法があり、自分に合う合わないという相性も当然あるということだ。
私はもはやドラマや実写など、生身の人間が演じているものはどうしてもダメで、アニメにしても最近は首をかしげるようになってしまっている。
小説もすぐに飽きちゃうし、漫画も好きじゃないし。
もうどうすんだと。
エ口ゲしかないじゃん、ってのが現状になっています。
そんな杓子定規な私だからこそ、エ口ゲの可能性を追求したくなるわけでして。
今日はそれをだべっていこうかなと思います。
*作家論と作品論
いきなり蛇足。
はじめに明確にしておきたいことなのでここで語っちゃいますが、私は作家論主義を大の苦手としている。
物語を読む際、その読み方として挙げられる論法がいくつかがあるが、そのうち代表的なものとして作家論と作品論というものがある。
作家論は、物語を通して作者を見るという方法。
かたや作品論は、作者を極力無視して物語だけに目を向けるという方法のことだ。
物語を通して作者を見るとはつまりどういうことかと言えば、小中等教育の国語ですよ。
『この文に込められた作者のキモチは?』
『この物語から読み取れる、作者が伝えたいことは?』
これが作家論の代表格。物語はただのフィルターに過ぎず、焦点は作者にしか当てていないっていうやつ。
私のいた大学でもこのようなことを取り挙げている教授がいましたが、もうね、ムカつきすぎて仕方なかった覚えがある。
小中等教育の国語科目はまた別に目的があるので、作家論を取り入れていることには否定はしない。
けど、つまらないよね、とは思う。
一言でいうと、
それって物語を見ているの?
って。 言いたくなるのね。
結局作家論というのは、物語は作家を見るためのひとつの材料に過ぎないって言っているようなものなんだよね。
そのために物語上の世界観や展開を考察し、最終的に作家の心情へと結びつける。
もちろんそれが悪いとは否定しない。
だけど、それで物語を理解した、感動した気になられても「はて…?」と疑念を感じざるを得ない。
開き直って「ああそうだよ俺は作者が好きだから作者を見てんだよ」って言われた方がすっきりする。
そうか、君にとってそれが物語なんだねってあきらめがつく。
作品論、実はこれが一番たちが悪い。
作家論が先に語ったようなものに比べ、作品論の読み方は作者は物語を見るためのひとつの材料に過ぎないというものだ。
ここがネック。
時に作者を織り交ぜ、けれど物語を情緒的に見る……
この手の読み方をしている人がほとんどだろうと思う。
全然いいと思うんだ。
だけど、勘違いしてほしくないのは 作者の言っていることがすべてじゃないんだよ、ということ。
でしゃばりな作家さんってのがよくいて、その人たちは、自分がどのような心情でこれを書いたとかあちこちで言ってるんだけど、
物語ってのは読む人がすべてなんだよ。読んだ人がどう感じるかが答えなんだよ。
製作背景とかそういうのを嬉々として語ることにより、作り手が物語の中に”決まった形――いわば顔”を作ってしまう。
それにより、読み手の想像力は制限されることになる。
作者がこう言っていたから、この人物はこういう考えで動いているんだね、とか。
私はかつて同じ経験をして、最後まで作品をプレイできなくなったことがあるので、以後そういう作家さんの作品は絶対にやらないようにしている。
物語は自由であっていいんだから。そこに作家が入り込んじゃいけないんだよ。
逆に、読み手自身から作者を連れてくることもある。
よく見る感想としては、
『この作者は恋愛を書くのが下手だ。だから次の作品では恋愛を書くことから逃げたんだ』
『この作者の書く作品は、決まって感動的なものだ。だから次の作品は感動的なものじゃないからダメだ』
とか。
こんな極端な例はないだろ、とか思う人もいるかもしれないけど、実際に見たことがあるんだよ、残念ながら。
別にこれも作品論的読み方のひとつだ。それ自体に否定はしない。
だけど今ひとたび言おう。
そうして自分で読み方を狭めていって、物語を見れているの?
前情報、クリエイター、製作背景。
物語を読むうえで、それらは不純物にしかなりえない。
それらを加味して見る物語は、必然的に可能性が狭まってしまうのだ。
『作者がこう言ってんだからこの人物はこう考えてんだよ。この後の展開の意味はこれが答えなんだよ!!』
って確定した形で物語を見ても、私はつまらないと思うのです。
けど、時には『この演出いいな』とか『この声優さんの演技いいな』とか考えることもあったりする。
きっとそのあたりが、譲歩できる最大のラインなんじゃないかな。
それを製作背景とか声優の素顔にまで持ってくると話は別になってしまう。
私がドラマやアニメを見なくなっているのもそこに理由があったりする。
だから私は、作者は消えたものだと考えるようにしている。
世の中ではそういうのを”テクスト論”とかいうらしい。
物語は最初から最後まで漠としたものだ。
それを確固とした形に仕立て上げるのは読者であって、他の誰でもない。
それが一番達成できるコンテンツがエ口ゲなんだと考えたことも、私がエ口ゲを好きな理由なのかもしれないな、と。
そう、『魔女こいにっき』のジャバウォック王が語る”物語の美しさ”というものを、より近くに感じられるから。
(不純物…といったが、それは物語内には本来ないものを指す用語で言ったものだ。
ある程度はメーカーや監督、作者、声優の存在を認知したっていいと思う。
このご時世、不純物0の状態で物語を見れるわけないし、少しくらいの認知であれば妥協できると思うので。私はそこまで否定するほど杓子定規じゃないです。
というか、私もよくエ口ゲを買う際メーカーやライターくらいはさらっと確認のために認知しますし)
情報量の差異
やっと本題。蛇足長い。ほんとはもっと語りたいけど。
話を戻すが、私は物語を漠としたものだと考えている。
物語は漠としたもので、けれど壮大なパワーを持っていて、人の考え方や人生観を180度変えてくれる可能性に満ちている。人に、幸福を教えてくれる。
それが物語のあるべき姿だと、私は思っている。
だから、大きな不純物が入る作家論や作品論は好きじゃないんだという話をした。
では、その漠とした壮大なパワーを感じるためにはどうすればいいのか、というひとつの考えとして、自分に合うコンテンツを見つけることだ。
前述した実写化うんぬんの話に戻ってみる。
たとえば漫画が好きな人がいたとしよう。
その人は文字に固執せず、キャラのリアルな表情や構図など、主に絵に焦点を当てて、その傍らで文を読んで物語を理解している。
かたや小説の詩的な文体に固執する人がいたとする。
その人がもし漫画を手にしても、その固執を譲らぬ限りはおそらく楽しめることはないだろう。
同じように、漫画が好きな人が同じ固執のもとで小説を読んだって、きっと楽しめることはない。
極端な例だが、これは至極当然な話だ。
こういうのを”筋違い”というのだから。
それと同じことが、アニメ――実写間で起こっているのだと考える。
コンテンツが変わったことにより、同じ作品でも物語の見方を根本的に変えることを強要され、それが結果として不快につながる。
つまり、コンテンツごとに物語の見方や見るべきポイントというのがはじめから設定されているのだ。
そこに難なく目を当てられたり、価値を感じられる人が、そのコンテンツを楽しめるのだろうと思う。
ここでは詳しく語らないが、たとえば実写映画や有名俳優の出ているドラマが好きな人は、もちろん物語全体に目を向けることもあれば、知っている俳優さんがストーリー上でバカをやっていたり熱演しているさまを見たいがために、見ているのかもしれない。
『あの人が出ているからこれ見よう!』
っていうのはおそらくこういうことかと。
もしかしたら俳優なんてどうでもよくて、生身の人間が演じていないと物語が入ってこないという理由で見ている人もいるかもしれない。
(一応言っておくが、私はこの理由を不純物とか、間違っているとか思っていない)
逆に俳優や生身の演者にこだわりがない人にとっては、実写やドラマというのはさして優先度の高いコンテンツではないと思う。
そこに目を当てないから、ドラマに固執する理由も薄く、別に漫画やアニメで良くね?ってなる。
これが要するに、コンテンツごとの見方や見るべきポイントといったものだ。
ではエ口ゲはどうか。
よく喩えられる事例としては『エ口ゲは小説とアニメを足して2で割ったもの』というもの。
まあ、共感できなくはない。
小説と同じ、地の文も混ぜたキャラのセリフで物語が進みながら、
あるいはアニメと同様、絵と音でも物語が進む。
しかし小説のように詩的表現には営めないし、
アニメのように連続的な動きを終始見せられるわけではない。
なもんで、別にエ口ゲはふたつのいいとこどりをしているわけではないのだ。
一見、渾然一体としたはがゆいコンテンツだが、しかしながらこのコンテンツにしかない良さというものがある。
圧倒的な情報量だ。
物語を”見る”というくらいなので、当然我々は”視覚”を用いる。
これはどのコンテンツでもおなじだが、そこから先に差異ができる。
たとえば小説。
これは視覚だけに見えて、紙触りやページをめくる楽しさを味わえる”触覚”もつかっている。
視覚と触覚という曖昧な情報から、物語の情景を想像するという楽しさがある。
たとえばアニメ。
これはわかりやすいように視覚と聴覚を使っているが、小説とはまた違った視覚の使い方をしている。
文章を読まず画面の動きを見ているため、視覚において”言葉”による感受が一切ない。
我々人間は言葉で通じ合う生きものだ。情緒を感じ、感情を想起するためには必ずそこに”言葉”が使われる。
言葉が感受を作り出しているのだ。
しかし、小説ではそういう情緒が作られるように文章が練られているのに対し、アニメにはその文章がない。
アニメには、視覚的な”言葉”の感受がないのだ。
その代わり、絵や絵の動きの演出によって抽象的に情緒を作り出すことが出来る。
これが、小説とアニメの視覚的差異になる。
ちなみに漫画においても同様だ。小説と同じ視覚と触覚を使っているのに対し、視覚で得られる感受が異なる。
という感じでまとめていくと、エ口ゲの持つ情報量は他とはまるで異なる。
魔女こいにっき
漫画に近いかもしれないが、アニメのような、絵による視覚的感受、
漫画より濃く、小説よりは薄い、文章による視覚的感受、
更にBGMや声優の演技による聴覚的感受、
触覚とは言えないかもしれないが、小説と近しく、自分の自由な動作(マウスとかキーボード)で物語を進められる感覚……
極論言っちゃえば、プロジェクターにつなげれば映画館ほどではないにせよ、アニメ以上の臨場感だって味わえる。
つまるところ、エ口ゲは感覚的な情報量が圧倒的に多いのだ。
(……上の画像のやつは極端すぎるけど)
まとめに入るが、そんな情報量が多いエ口ゲだからこそ、私が信望する物語の壮大なパワーを雄大に感じることが出来る。
(最近映画でもいいな、て思ってきた。キミスイすっごくよかった)
エ口ゲはもはや独立した物語コンテンツで、大量の情報から複雑な感受を受けることができる、他とは全く異なる物語表現を武器とする。
演出も、声優の演技も、絵のタッチも、もちろん文章やシナリオも、エ口ゲで言えばそれはすべて物語を構成する要素であり、物語を表現する上でどれも欠いてはならないものなのだ。
それらがすべて絶妙に絡み合ったとき、読み手は、他にはない膨大な感受を受けることができる。
だからこそ、響くときはとんでもなく響く。
その圧倒的な情報量こそ、エ口ゲの持つ物語性なのだ。
そこに、エ口ゲの物語的可能性があると信じたい。
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了。
最近『魔女こいにっき』の株が爆上がり中。
ギャルゲレビュー表。ちゃくちゃくと更新されていきます。
おススメ度 | 満足度 | |
4.5~ | ★★★★★ | ★★★★★ |
胸を張って万人におススメできる作品。個人的にぜひいろんな人と対談して理解を深め合いたいと思う作品がここに入る。 | 響いた中でも特に出逢えてよかったと感じる作品が入る。私の人生観に強い影響を与えた”特別好き”クラス。 | |
4.0~4.4 | ★★★★ | ★★★★ |
大体の人におススメできるだろうという作品。これも対談を望むような作品ばかりだが、優先度は低めというくらい。 | 響いた中では少し控えめな作品が入る。物語は気に入ったが個人的にもう一歩何かが足りない…でも十分に満足はしているよ、という感じ。 | |
3.0~3.9 | ★★★ | ★★★ |
人によっては好きなんじゃないかなという感じだが、少なくとも私には合わなかったよというくらい。やるなら自己責任で。 | 良い作品だとは思ったけど個人的に今一歩上手くハマらなかった級。ここまではまだ満足いっている方です。 | |
2.0~2.9 | ★★ | ★★ |
まず人におススメすることはない枠。好きな人は好きなんだろうが、その感性が個人的に理解しづらい作品が主にここに入る。 | 最低限私がエ口ゲに求める要素がクリアできているレベル。あくまで最低限なので程度はお察しだが、楽しめたところもあったよ、くらい。 | |
~1.9 | ★ | ★ |
やる価値皆無の作品。DVDはカラス除けにでも使ったらいいんじゃないですかね。 | 時間とお金をかけたこと自体がもう後悔。批判点が多すぎて逆にあきれるレベル。 | |
*満足度順になってます。
★★★★★級
管理人の人生観に影響を与えた問題作たち。
満足度 ★★★★★(5.0)
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おススメ度 ★★★★★(4.9)
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ささやかな恋、はじまります
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はつゆきさくら
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満足度 ★★★★★(4.9)
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おススメ度 ★★★★★(5.0)
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初雪から桜まで。卒業おめでとう
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真冬に打ちひしがれた子羊たちの成長物語。エ口ゲ初心者にもとっかかりやすい優しい作風でありながら、ヒロインたちと主人公との間で交錯する独特な恋愛観には熟練者としても考察の腕が試される、これぞまさしく万人受けする作品。私のエ口ゲデビュー作にして、一番深く考察を繰り広げてきた作品です。考察記事(進行中)→あなたにとっての卒業とは? 『はつゆきさくら』レビュー&考察の前説 - 白黒部屋のねこたまご
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満足度 ★★★★★(4.9)
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おススメ度 ★★★★★(4.8)
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書き換えることができるだろうか。彼女のその、運命を
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Rewriteは哲学、と言うが、Keyお決まりの一言文句でこの作品は言い表せない…と思いきや一周まわってやはり哲学な作品。一週目で理解するにはかなり難解な世界観ですが、理解できればラストルートのコタさんに胸がいっぱいになることでしょう。時間をかけてでも周回する価値は十分にあると思います。KEYの中では嫌われものですけど…
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猫撫ディストーション
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満足度 ★★★★★(4.8)
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おススメ度 ★★★★★(4.5)
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家族は揺らがない
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色濃い哲学要素から物理学まで、多彩な”特殊”で埋め尽くされた問題作。理解できるか否かの前に、とんでもない情報量の応酬に魅力を感じられるかどうかがポイントで、うまくハマってしまう人は思考方式をまるごと変えられてしまうかもという危険性を孕んだドラッグ的な作風になっています。私はその被害者のひとりです。
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魔女こいにっき
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満足度 ★★★★★(4.7)
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おススメ度 ★★★★★(4.5)
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ひとめぼれより永遠を。どうか日記に残せたら…
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「物語とは何か」という途方もないテーマのもとで紡がれたシナリオに、自分自身どこか救われたような気分になった覚えのある作品。物語はどうあるべきなのか。物語は何を残してくれるのか。自分なりに考えを持った上で本作をプレイしてみると、きっと本作で描かれている物語観に感動することでしょう。名状しがたい読後感に、今でももやもやしています(良い意味で)。
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満足度 ★★★★★(4.6)
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おススメ度 ★★★★★(4.6)
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僕たちはひとつの群れになる。群れはお互いを守るためのものなんだ
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男の娘モノの代表作。異論は認めない。公式の人気投票で数あるヒロインを足蹴に一位を飾っちゃう男の娘ってどうなの、って思うかもしれないけどそりゃそうだよ可愛いんだもん(思考停止)。OPテーマの「絆」が本作を象徴する言葉で、彼女たちの打算的で絶対的な絆にはいつ見ても憧憬の念を抱いてしまいます。何度も言うけど男の娘はほんとにいいよ。
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ギャングスタ・リパブリカ
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満足度 ★★★★★(4.5)
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おススメ度 ★★★★(4.4)
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誰も溺れないように
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悪に集った少年少女たちの救済物語。本作のテーマである「悪」に本当の意味で共感を示せる人ほどどっぷりハマっちゃう作品で、これもまたドラッグ的な面白さに溢れているのです。”ヒロインを理解すること”がメインとなる異色なシナリオ構成になっているので、萌え目当てで見るにはお勧めしません。
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★★★★級
本当はもっと長くレビューしたい作品たち。
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金色ラブリッチェ
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満足度 ★★★★(4.4)
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おススメ度 ★★★★★(4.6)
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すべての時間が、ゴールデンタイムだから
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金持ちのお嬢様学校で繰り広げられるドタバタコメディ劇。キャラゲーよりの作風だが、何より私が気に入った点はこの物語の主題───”カッコつける生き様”にある。一見バカみたいな価値観に思えるかもしれないけど、私にとってはこのテーマを取り挙げてくれただけで至上の価値がある作品なのです。なもんでシナリオ自体には色々不満があったりするのですが…
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ナツユメナギサ
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満足度 ★★★★(4.4)
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おススメ度 ★★★★★(4.5)
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君といる夏。君がいない夏。君がいた夏。
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停滞に溺れたロビンソン達の救済物語。鬱ゲーと称されることが多いようだけど、実際そんなことはなく寂寥感に付随してくる暖かな幸福感が魅力な幸福ゲーが実態になっています。根幹のテーマははつゆきさくらと似たところがあり、並べて見てみるとより物語の深みにハマっちゃうかもです。
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和香様の座する世界
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満足度 ★★★★★(4.4)
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おススメ度 ★★★★★(4.4)
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今の世も、お前も、存分に愉しもう
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現代によみがえった最強無敵の神様姉妹と過ごすADV。魑魅魍魎が跋扈するダークな世界観ではあるが、このバランスブレイカーな強さを誇る神様姉妹のおかげですべてがギャグになる、というあっけなさが売りの本作、そのギャグがあまりにもテンポが良く、痛快で、とても面白い。非の打ち所がないとはまさにこのことかと思います。
一方でこの高尚な世界観で紡がれるストーリーのラストはかなり難関な内容。理解しようとすれば、積極的な考察や日本の神に対する知識は必須。ギャグも楽しめ、考察も楽しめる、エロゲの良さを存分に活かした屈指の神ゲーです。
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ハロー・レディ!
|
満足度 ★★★★(4.4)
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おススメ度 ★★★★(4.2)
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輝ける少女たちへ
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有為転変の世界という舞台上でスポットライトを浴びれるのは、選ばれたほんの一握りの主役だけ。端役は隅で踊るだけなのか?主役の邪魔にならぬよう密かに捌けるだけなのか? 主人公、成田真理はそれを許さない。”人間の意志”を誰よりも信じる彼やヒロインたちの奏でる人間賛歌は、大波乱のストーリー展開に乗って強烈なメッセージを寄こしてきます。
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景の海のアペイリア
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満足度 ★★★★★(4.3)
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おススメ度 ★★★★★(4.2)
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|
可能性が可能性に干渉し、別の可能性を作る
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近未来で繰り広げられる科学冒険ファンタジー。ある意味で設定特化な作品で、世界観や論理展開はとても濃厚に練られており、理論において一切の妥協は見られないものの、逆に言えばそれ以上のものはない、という感じ。しかしエ口ゲならではのギャグがシュールすぎて、終始面白おかしくプレイできた作品でした。
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満足度 ★★★★(4.2)
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おススメ度 ★★★★★(4.6)
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この青春を、駆け抜けろ
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ひとりじゃ辛いからふたつの手を繋いだ。ふたりじゃ寂しいから輪になって手を繋いだ。そんな優しい友情の物語…ではなく、これは過酷に打ち勝つための強さを求めた少年たちの成長物語。ラストルートであるRefrainはリトルバスターズのメンバーたちの”友情”という言葉では物足りない命を懸けた関係性に何度も泣いてしまう場面が。
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満足度 ★★★★(4.2)
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おススメ度 ★★★★★(4.5)
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眩しさだけは、忘れなかった
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眩しかったあの頃を失った、その憔悴しきっている心に響く、KEY渾身のノスタルジック作品。世界観も難しくなく、修羅場な重々しい展開もほとんどない。ただ懐かしいという郷愁に襲われるだけのゆったりめな物語。物語に対してこだわりがない人ほど響きやすい作品かもしれません。
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むすめーかー
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満足度 ★★★★(4.2)
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おススメ度 ★★★★(4.3)
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切なくても歪んでいても つながる絆がここに、ある
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娘(成人)を調教するADV。タイトルやイラストからもその大まかな作風がわかる通り、ロリコン野郎ども向けのエロゲ……と思いきや、むしろそういう人たちほど向かない、ひどく凄惨で心がえぐられる闇深き作品でした。ネタバレになるので詳細は語れませんが、この闇深きシナリオがこの作品の肝と言っていいくらい面白いです。Trueルートと思わしきエピソードのラストにはただただ圧巻されました。
ただロリを味わい尽くしたいという人はヒロインの個別ルートには一切入らず、娘育成シミュレーションだけ楽しみ、娘との結婚ENDを目指せばいいと思います。
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キサラギGOLD☆STAR
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満足度 ★★★★(4.2)
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おススメ度 ★★★★(4.1)
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本当にたどり着きたいと願った場所は、変わっていないはずだから
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いつも一緒の仲良し6人組が織りなす青春イチャラブゲー!……の一方で、時に残酷な一面をのぞかせる「夢」がテーマとなった青春ドラマ作品。劇中歌である「狼男が恋をした」の中毒性も凄まじいことこの上ない印象。ぎゃおぎゃお~!
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‘&’―空の向こうで咲きますように―
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満足度 ★★★★(4.1)
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おススメ度 ★★★★(4.4)
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あの日の約束を忘れない
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魔法の道具をめぐる『冒険』の物語。春木麗という史上まれに見る愛らしきキャラクターを筆頭に、幼馴染たちの古くから続く関係性やこども心にはついついほっこりしちゃいます。どこをとっても十分に楽しめるはずの本作、募る最大の謎はこれが店頭で税抜き3桁で売られていたことに尽きる
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向日葵の教会と長い夏休み
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満足度 ★★★★(4.1)
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おススメ度 ★★★★(4.0)
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変わっていくものがある。変わらないものがある
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フツーに田舎に帰省したフツーの主人公が幼馴染と再会してフツ―に田舎生活を送るだけ。エ口に特化しているわけではないし、良くも悪くも平凡なエ口ゲだな…と思った矢先の、終盤からのこのただならぬエモさは何…!?という作品。 上手く言葉にできないプレイ後のこの余韻は、このような雰囲気ゲーでしか味わえないと思います。
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Re:LieF
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満足度 ★★★★(4.0)
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おススメ度 ★★★★(4.4)
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試してみるんだ、もう一度
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大人になりたての成人たちへ捧げたまた新しい青春作品。萌え要素が一切無い、エ口ゲとしては独特な雰囲気を持つ挑戦的な作風ですが、「再起」という終始一貫したわかりやすいテーマ性や、優しい世界観で紡がれゆく人間ドラマは多くの人の琴線に触れると思います。これを買うとき、色々忘れられない事件がありましてですね…(どうでもいい)
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抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?
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満足度 ★★★★★(4.0)
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おススメ度 ★★★(3.8)
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回避せよ、ドスケベセッ〇スを!
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このふざけたタイトルに騙されてはいけない。抜きゲーを見せかけた生粋の胸熱バトルもの作品である。18禁という縛りの中で売り出しているが、作風は少年漫画そのものである。少年漫画では倫理的にアウトな表現が許されてしまう治外法権たるこのエロゲ界隈で、その少年漫画にある胸熱で誰もが楽しめる盛り上がりを楽しめる、というのがこの作品の面白さである。頭空っぽで見ても面白いが、私はこの作品のTRUEルートの終わり方がとても印象に残っています。
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★★★級
3.7以上とそれ未満とでは大きな壁があるかも……しれない。
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満足度 ★★★(3.9)
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おススメ度 ★★★★(4.4)
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また一人、少女が散る…
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これほどまでに理不尽と言う言葉がしっくりくる内容はないんじゃないかと思うくらい、重い空気の充満した作品。各ヒロインとの接触を重ねていくごとに、現実主義者であった主人公がどのように変化していくのか。特にユースティア編での主人公の言動には胸が痛めつけられることこの上ない。
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Pieces 渡り鳥のソムニウム
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満足度 ★★★(3.9)
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おススメ度 ★★★★(4.2)
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この果ては、君と落ちる微睡みの国
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現代の正統派エロゲ。世界観やシナリオにも力を入れ、女の子の萌えやエロも全面に売り出し、ギャグもアップテンポで面白い。そしてOPの前奏がすんごい綺麗で…()
とにかくエロゲを構成するひとつひとつの要素のレベルが高く、誰がプレイしても満足できる懐の深い作品。続編も出ているようですが、私は買っていません。
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見上げてごらん、夜空の星を
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満足度 ★★★(3.8)
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おススメ度 ★★★★(4.2)
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いつでも。ここから。はじまる
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天体観測ADV。この作品のすごいところは天文の知識やその雄大さを知らずとも、天体観測ってすごい!と思わずにはいられなくなるくらいに凝った演出や人間ドラマにあり、プレイ後はきっと、ふと夜空を見上げてしまっていることでしょう。ひかりと沙夜以外はおまけみたいなもんです。
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満足度 ★★★(3.8)
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おススメ度 ★★★★(4.0)
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私の世界は、優しい嘘で満ちている
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タイトル通り、彼女たちの流儀の物語。鳥羽莉という少女の強さ、異質さ、そして脆さや弱さに、何度も心が揺れ動かされるお話。鳥羽莉という存在の、なんとも形容しがたい壮大な魅力には、未だ的確な言葉を当てられません。実は思い返してみると鳥羽莉より涼月の方が好きなのかもしれないと思うここ最近…
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終わる世界とバースデイ
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満足度 ★★★(3.7)
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おススメ度 ★★★★(4.2)
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あの日、世界が終わるなんて、誰も信じちゃいなかった
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夏の終焉りに向かう終末モノの代表作。ドロドロの狂気思考やひしめくような理不尽で黒々と塗られた世界観は、気分を害するグロシーンは勿論ながら、あろうことか凌辱シーンまで見せつけてくる始末。また感動作としても著名なようで、エピローグ読破後は誕生日に対する考え方が少し変わるかもです。
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11月のアルカディア
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満足度 ★★★(3.7)
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おススメ度 ★★★★(4.1)
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紡いだ絆と引き換えに、俺は未来を盗む
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異能力学園バトルもの。悪役になり切れない善人が必死こいて悪を成そうと試みる、とにかくもどかしい人間臭さがにじみ出る物語。主人公はなんとフルボイスで、その演出がより彼をひとりのキャラクターとして眺めやすくしています。音楽の質も高水準で、主題歌、劇中BGMは全体を通して稀に見る良曲のラインナップでした。
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Hyper→Highspeed
→Genius
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満足度 ★★★(3.7)
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おススメ度 ★★★(3.9)
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世界を変える高速思考
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王道の異能力バトルもの作品。一昔前の作品だからか、能力の内容や世界観は今で言う王道……少し悪く言えばありきたりではあるが、それでもストーリーは普通に楽しめちゃう。メインヒロインの光理がもうね、かわいすぎる(語彙力低下)。しかし攻略キャラが10人もおり、Trueルートに行くまでに9人を攻略しなければならないというのはなかなかに長い道のりすぎた…
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満足度 ★★★(3.6)
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おススメ度 ★★★(3.9)
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二度ともう戻れない魔法にかけられても
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非の打ち所のないギャグ作品。何か(笑いが欲しいという方向で)面白い作品ない?と聞かれたら迷わずこれを挙げます。主人公ならびに取り巻きの連中の童心の強さには憧れさえ覚えてしまうほど。根っからのギャグゲーなんで、徹頭徹尾ギャグとエ口を楽しんでください。
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ひこうき雲の向こう側
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満足度 ★★★(3.6)
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おススメ度 ★★★(3.6)
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これは俺の物語なんかじゃない
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このリストにある中で一番評価に困っている作品。なかなか独特な感性で描かれた恋愛観や美汐瑛莉という少女の奇抜さが人を選びますが、私は彼女の一貫した信念がとても好きでした。彼女の見つけた恋とは何なのかをもうちょい考えながらプレイすれば、この作品の価値に気づいていけるのかな、という予感はするんだけど…
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アマツツミ
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満足度 ★★★(3.5)
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おススメ度 ★★★★(4.0)
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あなたは今、何色ですか
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言葉を操る神の旅物語。慈しみから憎しみまで、あらゆる感情が交錯する本作は、まさしく”人間”というものについて色々と考えさせられます。ネットでは感動ものとして有名なようですが、まだまともに考察していないからか、個人的に合わないのか、どちらかというとエンタメ系な気がします。
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水葬銀貨のイストリア
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満足度 ★★★(3.4)
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おススメ度 ★★★(3.5)
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ハッピーエンドを約束しよう
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幸福の裏に存在する不幸、普段視界に入らない他人の幸せ……そういうものに必然と目がいくようになってしまう、理不尽まみれの物語。ある意味で視野の広がる本作、是非ともお勧めしたいにはしたいけど、許容範囲を優に超えたバグや誤字脱字の多さ、テンポの悪さにはどうしても目をつぶることができなくて…
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神様のような君へ
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満足度 ★★★(3.4)
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おススメ度 ★★★(3.2)
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明日へと続く、君との今。
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キャラゲーに見せかけてシナリオゲー…と思いきや一周回ってやっぱりキャラゲー色の強いエンターテインメント作品。AI技術が当たり前となった世界観を如何様にも行脚できるハッキング技術を持つ主人公、そしてその主人公に慕う理想のアンドロイドと、ご都合主義満点で読みやすいシナリオが売りとなるが、個別ルートに入ってからの雰囲気の変わりようがすさまじい。共通パートからは想像もつかないくらいの重々しくえげつないシナリオが押しかけてきます。ただ、ラストは結局ハッピーエンドで終わるので…一周まわってやっぱりキャラゲーです。
感想記事⇒『神様のような君へ』感想記事
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月に寄り添う乙女の作法
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満足度 ★★★(3.3)
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おススメ度 ★★★(3.7)
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桜小路を陽が照らす
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思ったよりキャラゲー色の強い、あるいは純愛ものの人気作。日常の掛け合いやフランクな文体が面白おかしく、また王道なギャルゲのスタンスを覆したような主人公とヒロイン(ルナ)の特殊な立場関係には特に惹きつけられました。ああ、お優しいルナ様…
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罪ノ光ランデヴー
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満足度 ★★★(3.2)
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おススメ度 ★★★(3.5)
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いけないの、知ってても
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作中に引用されている「赤い蝋燭と人魚」と、真澄あいという少女の願いに色々と熟孝させられた覚えがある作品。田舎娘ってこんなにいやらしいのかと思うくらいエ口さが光る作品ですが、”普通の感性では理解できない”人物が多く、Hシーンの本格さとは裏腹に人を選ぶ物語になっています。
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RIDDLE JOKER
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満足度 ★★★(3.1)
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おススメ度 ★★★(3.7)
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全てを暴け
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偽乳が暴かれたヒロインのお話。物語を読む、という熱烈な視点を外して息抜き程度にやってみればこれはなかなかのもの。好きじゃない子のルートはやらなくても十分楽しめるようにできている親切設計。ただ、いくら視点を変えるにしても相変わらずの会話のテンポの悪さにはどうしても目がいってしまい…
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ソレヨリノ前奏詩
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満足度 ★★★(3.1)
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おススメ度 ★★★(3.5)
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さよならは、きみだけを。
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minoriの作品は総じて、エロにシナリオに萌えにと色々狙いすぎて、渾然一体となっている印象が否めないのだが、この作品も例に漏れず。。。
罪ノ光ランデヴーと比べて胸の脅威()は下がった反面、女の子が可愛くなった印象。ただシナリオに関してはあんまり印象に残っていない。ひとりひとりの女の子の性格が人間としてひん曲がっており、それが面白さのひとつでもあるのだが…うーん…
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いろとりどりのセカイ
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満足度 ★★★(3.0)
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おススメ度 ★★★(3.0)
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悲しいときは手をつなぐ。そういう決まりだ
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君はひとりぼっちじゃない。そんな暖かいメッセージで満ち溢れた物語。真紅という愛らしいキャラクターだけでも手に取る価値は十分にありますが、いかんせん個別ルートがとにかく冗長で退屈極まりない。ただ、真紅ほど愛おしいと思えるヒロインはそうそうお目にかかれないうえ、ラストの深さにも一目置きたいと思うのでギリおススメに
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★★、★級
めっちゃ厳選しているので地雷を踏むことは意外と少なかったり。
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ヒマワリと恋の記憶
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満足度 ★★(2.8)
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おススメ度 ★★(2.6)
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また、君に恋をする
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二度とない青春を過ごすADV。物語は良いのかもしれない。けど製品レベルにも満たない誤字脱字やバグの多さに加え、まるで素人が手を加えたような手抜き演出の数々にはもはや二の句が継げず、これほど”魅せ方”が大切にされていない作品はある意味レアものでした。イラストや音楽関係など、物語の雰囲気にあったものを描いてくれた実力ある製作人に恵まれていたのに、肝心のゲーム性は最低クラスという救えなさっぷり。
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枯れない世界と終わる花
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満足度 ★★(2.0)
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おススメ度 ★★(2.0)
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信じることを、諦めるな
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風光明媚な世界に潜む残酷な条理の物語。シナリオゲーに見せかけて考察するほど深く練られた様子もなく、ラストも感動の押し付けっぷりにとてもイライラした覚えのある作品。あと背景があまりも綺麗すぎてヒロインの立ち絵が張りぼてのように見えたのが悪い意味で印象的だったり。
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Suite Life
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満足度 ★(1.9)
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おススメ度 ★(1.9)
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はじめまして。今日から家族になります
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エモーショナルな雰囲気を感じてパケ買いしたものの、羊頭狗肉の地雷を踏んだ次第となりました。もう、徹頭徹尾面白くないですこの作品。設定もストーリー展開も何もかも雑で、作品全体の意向が何一つ見えてこない。のっけから批判点が枚挙にいとまがないくらいなので、こんなのに8000円近くかけたことを本気で後悔しています。
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*プレイしたすべての作品を載せているわけではありません。正当な評価を下せないものには、あえて沈黙を通す形をとっています。
*また、同じメーカーで同じような感想になるものも表に載せていません(特にゆずソフト)。
*評価基準は更新するにつれ変わっていくので、はじめから載せていた作品の評価も刻一刻と変わっていきます。あしからず。
以上。
上位の作品については、いずれまた別の記事にして語っていきたいなと思ってます。
ブログ開設のご挨拶
「白黒部屋のねこたまご」にようこそ。
簡単な挨拶を兼ねて、ここでは本ブログの目的と方針を書きつらねていきます。
ささっと、サイトの、紹介ッ
まずはご挨拶
改めて、ご閲覧いただきありがとうございます。
管理人の名前は”ゆい”と申します。
由来? もちろん本名じゃないですよ。当たり前だけど。
単純にゆいという響きが好きなのでこうして採用しているだけ。
管理人はそんなヒト。ぶい。
後に詳しく書きますが、基本的には思考の整理を目的にブログをはじめた次第ですので、出没ペースはまちまち。
いずれ記事がちょくちょく出回るようになれば要望や指摘など寄せられることになるでしょうが、
できるだけ真摯に受け止め、よりよいブログの完成を目指して皆さんと情報を共有出来たらな~と思います。了。
このブログの目的
本ブログの目的は”思考の整理”にあります。
主に『物語』を読んで考えたこと、感じたことなどをカタチにし、公の場に発信することで思考の整理を促す。そのような方針です。はい。
物語と言えど、基本語るのはエ口ゲ、アニメ(こちらは少なめ)になります。
小説も読まないことはないのですが、自分には合わないかなと思う所がちらほらあって……
これもいつかお話ししたいと思いますが、自分はもうドラマや実写映画等、エ口ゲ以外のコンテンツでは物語を物語として見ることができなくなってしまい、かなりの食わず嫌いなユーザーになってしまっております。
その代わり、その情熱をすべてエ口ゲに注いでいる身です((
プレイした作品のレビューはもちろん、気に入った作品があれば考察、感想なんかも随時書いていきます。
他、理系出身の身ゆえ、理系関連の情報や書籍にはめざとく反応します。
どれも浅い知識しかないけれど、そういうのを読んだ感想や考えた事を述べることもできたらいいな、とも考えています。
根っからの物理屋なので、語る範囲は限られると思います。特に素粒子は今現在ILCやLHC計画でリアルタイムでブームになってますからね。今後どうなるか、私もウキウキなのです。
そうですね。文系なのか理系なのか、よくわからない渾然一体なブログになりそうです。
しかし、どの内容においても共通して根底に置いているテーマがあり、それは、
”思考から言葉へ”
というもの。(あれ、どこかで聞いたような……ああ、はてなブログの方針まんまでしたね)
思考したものをカタチにするために、後につなぎとめるために、胡乱を、言葉で確定させよう………という感じ。物語でも、物理でも。
このテーマを念頭に書いていくので、レビューこそすれ、基本的に読者さん向けに提供するような記事は少なくなります。
しかし自分の発信したものが誰かの思考に刺激を与えられるのなら、発信者冥利に尽きるというもの。
作品討論も大歓迎です。ばしばし。
エ口ゲにおける管理人の思考背景
最後に、このブログを扱っていく上でもっとも重要になる内容のいくつかをここで。
1.どんなエ口ゲをやるか?
管理人は、物語の持つ漠とした壮大なパワーを感じたいヒトです。
プレイ後の余韻が波紋のように心をなびかせ、はたまた人生観を一変させるような……そんなエモーショナルな読後感を求めてエ口ゲをプレイしています。
ですので、主にシナリオゲーと呼ばれているものを好む傾向がございます(シナリオゲーの定義が少し曖昧ですけど)。
シナリオ全体において、ヒロインの立ち位置が明確に物語の本筋に絡み、主人公と織りなす人間ドラマが根強く描かれ、論理的に納得のいく終幕に至る……といったシナリオ構成の完成度はもちろん、
ヒロインや主人公の人間的な弱さなどが感傷的に映える演出効果(BGMやCG等)にも目を光らせます。
そうですね、私にとって大事なのはシナリオ構成、演出効果の二点でしょうか。
それらがしっかり成っていて、はじめてエ口ゲは成立するんじゃないかと思います。
そう言うと批評的に物語を見ているんじゃないかと言われそうですが、基本的に初見プレイではそのようなことはなく、感傷的に物語に浸ることがほとんどです。
ただ、演出効果が手抜きな作品や、明らかにシナリオ構成を等閑視している作品にまれに出会うことがあると、投げ出したくなって惰性的に読み進めてしまうこともあります。そういう作品は語ることすら嫌、というくらいです。
現状、エ口ゲ界を席巻しているキャラゲーや萌ゲーなどは、一応やることはあるにしても、シナリオゲーと同じ見方で見ることはないので、だいたいはすぐに飽きます。
ストーリーとかが面白いものはオートモードにして作業用BGMに使ったりしてますけどね。
あと、フェチ系作品によく該当される、ダーク系の重い作品は回れ右しています。
たとえ私が求めるものが揃っていたとしても、悲鳴とか絶叫とか……痛々しいものはあまり目に入れたくないのです。鬱になるから。
『終わる世界とバースデイ』がボーダーライン。あれ以上は無理。
………チキンとでも、なんとでも呼ぶがいい(´・ε・`)
海富一他 『終わる世界とバースデイ』 コットンソフト 2012/7/27
とにかく、管理人が望むエ口ゲは”心に響く物語”です。
後々レビューにも書きますが、参考がてら、私が何より崇拝し開口一番におススメする作品ふたつがこちら(クリックするとAmazonに飛びます)
・はつゆきさくら
新島夕 『はつゆきさくら』 SAGAPLANETS 2012/2/24
新島夕 『恋×シンアイ彼女』 Us:track 2015/10/30
恋カケは至高の作品です(((
2.エ口ゲの読み方は?
これもいずれ詳しく語りたいことですが、多様な物語の読み方がある中で私が推奨しているのは”テクスト論”です。
(厳密に言えば、作品論寄りのテクスト論…という感じなのだけど、まあまあそこはいいとして)
つまり『作者は消えたんだ。もういないんだ』と考えている極端なヒトなのですね。
物語は物語として読みたい。
ぶっちゃけた話、作者??声優??絵師??なにそれ??という状態にならなければ、本当の意味で物語を物語として読むことはできないと考えています。
(もちろん、そんな状態は机上の空論に過ぎません。どう頑張っても、多くの作品をプレイしていると前情報というバイアスがかかってしまい、曇りのない眼で物語が見れなくなっていきます。ここはなんとか割り切りたいところだけど…うーん)
ですので、公開するレビューや考察などに作者の名前が挙がることはほとんどありません。他作品との比較の際に、ひとつの材料として目を向ける程度です。あしからず。
また、エ口ゲやっているくせにHシーンはほぼSKIPする変わり者です。
シナリオ上関係の深いHシーンは見ることはありますが、それでも絶対数は少ない方。上記のはつゆきさくらにしてもHシーンはすべて飛ばしていますので、、、
いや、シナリオゲーマーって普通みんなそうじゃない?(開き直り)
3.はじめてプレイした作品は?
エ口ゲではないのですが『Rewrite』が人生初のノベルゲーでした。
エ口ゲはおろかギャルゲーの知識なんて一切なかった(keyすら知らなかった)時ですので、前情報も何もなく、ただなにかギャルゲーやってみたいな~って思ってふらついて、手に取ったのがこれだったのです。
ええ、度肝抜かされましたよ。
まず個別ルートにすら入れないし、個別に入っても展開についていけないし、なんとかラストルートまで入ってED迎えてもポカン状態でしたもの。
まったく理解できない。世界観イミフ。なにこれ、タイムリープもの?とか思ってたくらい読解力もへったくれもなかった。
でも、そんな強烈なもどかしさを残してくれたおかげで、その後はきちんと物語に向かうようになり、今はこうしてエ口ゲに物語性を求められるヒトになりました。
運命ってあるものですね。
ちなみにRewriteはKEYにしては珍しくアニメ化はしていません。していないんです。
いやー、アニメ化する日が楽しみですねー(すっとぼけ)
んで、エ口ゲの初プレイは『はつゆきさくら』です。
OPの方を某動画サイトで知ったので、そこから入りました。
いやぁ、これも運命でしたね。思えば私の物語追及はここから始まった…
4.好きなキャラ、音楽は?
物語のみならず、好きなキャラや音楽にも人となりが出ると思うので、参考がてら。
キャラ
・姫野星奏(恋×シンアイ彼女)……さいかわヒロインです。
・國見洸太郎(恋×シンアイ彼女)……さいかわ主人公。もうほんとすき。
・あずま夜(はつゆきさくら)……真面目さと健気さと弱さに何度もホロリでした。
・河野初雪(はつゆきさくら)……この作品のメインヒロイン。
・桜井たくみ(魔女こいにっき)……王よ。あなたの語る物語は美しい。
・和久津智(るいは智を呼ぶ)……男の娘の最高峰。異論は認めない。
・春木麗(‘&’空の向こうで咲きますように)……史上最強の元気娘。めっちゃすき。
・天王寺瑚太朗(Rewrite)……ラストルートのコタさん、カッコ良すぎです…。
・七枷結衣(猫撫ディストーション)……あの雰囲気すごく好み。
・七枷琴子(猫撫ディストーション)……こういう妹ほしいです。色々楽しそう。
・凛堂禊(ギャングスタ・リパブリカ)……ミステリアスが好き…なのかな?
・有坂拓翔(11月のアルカディア)……人間らしい弱さがすっごく好きです。
音楽
・メインテーマ(恋×シンアイ彼女)……エモーショナルたっぷりの良曲。
・君は無音の中で(恋×シンアイ彼女)……これと星奏の一枚絵にやられました。
・alpha:(恋×シンアイ彼女)……創作世界の不思議さというか…こういうのすきです。
・GLORIOUS DAYS(恋×シンアイ彼女)……歌詞をぜひ見てほしい。すんごく良い。
・死者の嘆き(はつゆきさくら)……悲愴なピアノが雰囲気出しててとても良いです。
・Dead's dream(はつゆきさくら)……あずま編でこれが流れるシーンが好き。
・メリーゴーランドをぶっ壊せ(はつゆきさくら)……良い歌詞なのです。
・HesitationSnow(はつゆきさくら)……言わずと知れたfripSideの神曲。
・Exploration2 symphonic(Rewrite)……コタさんの奔走が肌で伝わる良曲。
・Philosophy of ours(Rewrite)……コタさんの猛る感情が肌で伝わるry
・渡りの詩(Rewrite)……人間には歌えない神秘の曲。
・Familiar(猫撫ディストーション)……家族はあなたの枷ですか?
・Bullshit!! Hard problem!!(猫撫ディストーション)……パワーあるよね、この曲。
・Golden Mission(金色ラブリッチェ)……アップテンポで楽しい曲。
・夜を抱えて(11月のアルカディア)……これもまた悲愴がよく伝わる曲。
・アルカディア(11月のアルカディア)……振り返らない。アルカディアのため!!
・止まない雨はないから(ひこうき雲の向こう側)……知ってる人は知っている良曲。
音楽を織り交ぜて物語を楽しめるのがエ口ゲの良いところですの。
以上。管理人より「白黒部屋のねこたまご」の簡単な紹介と挨拶でした。
レビューや考察などは随時記事にしていきますが、感想のみならず要望や指摘等も、お気軽にコメントしていただくと嬉しいです。
それでは、今後ともよろしくお願いします。
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以下、ブログ巡回用URL
・エ口ゲレビュー
ギャルゲレビュー表。ちゃくちゃくと更新されていきます。 - 白黒部屋のねこたまご
・管理人の思考背景(ゆいのお花畑)
基本、独自の物語論を語っています。
ノベルゲームの持つ可能性を信じたい。私の考えるノベルゲーム的物語性について~ - 白黒部屋のねこたまご
・エ口ゲ考察記事(ゆいのエロゲ語り)
『恋×シンアイ彼女』考察 二人のたどり着いた恋愛観とは。 - 白黒部屋のねこたまご
・理系関連(ゆい物論の庭)
切り立った崖をなだらかに。二重指数関数変換のススメ - 白黒部屋のねこたまご
(準備中)
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